山と登山技術

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■23 / 親記事)  「確保」と理論(2002/8/13更新)
  
□投稿者/ オジサン -(2002/04/18(Thu) 06:16:02)
    第┃ 26┃回┃「初めにゲレンデありき」(2001/4/11 )
    ●A君 ▲私

    A君 から質問。
    ●ゲレンデで、教えていただいたことをメモってみました。はっきりわかったと思っていたことが、書き出してみると既に何故そうするのかが曖昧になっている点が出てきました。再度、確認したいので教えてください。
    1、確保に関わって
    (1)支点がしっかりしている場合
       <確保機でエイト環を使用する>
       ダブルザイル使用時にチョンボ掛けの変形=大き目の安全環・小さ目のビナを使う:方法 
       <ハーネスにつけたビナにトップから来ているロープを通しターンさせる>
    ▲チョンボ掛けの変形はザイルが流れてしまうと言うことを理解してください。(フリーには向きません)カラビナでターンさせるのはザイルの向きが一定のため操作しやすい。(ザイルが持って行かれない)ただし、エイト環とターンするハーネスの間が有る程度ないと窮屈・・・その時出来ればセルフを取っている支点にテンションをかけている状態がベスト。なお、ボディに直接確保機を付ける場合は、セルフビレーの取り方(ディジーチェーン不可メインザイルでとること)・長さ(手が届く範囲にセルフポイントが在ること)に注意する事が必要です。(衝立岩の宙づり事件)
    ●(2)支点がしっかりしていない場合?
    ▲実際の岩場・沢等では最悪の事態の確保支点しか得られないことがあります・・・その場合、確保支点では自分自身の確保(セルフ・ビレー)のみにします。トップの確保は自分のハーネスの確保機(カラビナのグリップビレーがベスト(注・)。ATCは最悪!!)にならざるえないこともあります。
    ●(3)ATCがアルパインには不向きと考えられる訳?
    ▲アルパインでの支点の不安定性を無視して急激に止めてしまうため。「ダイナミックビレー」にむかない。ランニングの支点には墜ちた人の重みと引っ張っている(確保)力の二重の負荷がかかるので急激に止めると負荷が大きいのでランニング支点が破壊されます。
    ●(4)立ち木を支点にビレイするとき?
    ▲タイオフ等が必要な場合があります。

    第┃ 27┃回┃「初めにゲレンデありきーその2」(2001/4/12 )
    ●(6)ダイナミックビレーとは?
    ▲フリークライミングの広がりに伴って「死語」化している様な感がします。ランニングポイント(ハーケンとか錆びたボルト等)にかかる墜落のシッョクを緩和する方法を制動確保つまりダイナミックな制動をかけながらビレーすると言うことです。感覚的にはグリップビレーをしているときに強くあるいは弱く掴む事で制動をコントロールしますよね・・・つまり急激なショックを与えないでブレーキを掛けながら繰り出して墜落を止める事です。文部省の登山研修所から出している文献が詳しいですが・・・東京都山岳連盟の救助隊もATCを使っているそうです・・・本当にダイナミックビレーて「死語」になってしまったようですね・・・

    第┃ 51┃回┃「クライミングの面白さ・多様さ」(2001/9/3)     
    ボディビレーと支点確保ビレー
    制動を掛けることを前提に墜落距離が1m程度の場合はボディビレーは有効ですが、墜落距離が4m程度の場合は、落下率が小さい場合でも、制動距離1mで確保点のザイル張力は100Kgf程度となるために、ボディービレーでは体が浮き上がってしまう・・・その体制で制動を掛けることが難しいため。ランニングビレーに対する負荷を軽減する事が難しくなる・・・ボディービレーは不向きで、支点ビレーが安全。支点が確実で1ピッチのみ、又は支点(ランニング)間隔が非常に近い場合はボディビレーは有効。マルチピッチの場合は支点(ランニング)間隔が遠い様な場合があるのでボディビレーは有効とは言えない。固定支点による制動確保にするべきです。

    第┃ 65┃回┃ 「確保」について(2001/11/20) 
    ●"昴"メールへの質問
    _ >かなり前(9月3日)になりますが、ボディビレーと支点確保ビレーについて昴メールで拝見しました。先日、アルパインのロープワークを会の先輩から習ったの ですが、ボディビレーは行わず支点確保ビレーで登る方法でした。アルパイン関連のある本に、支点確保ビレーは「トップが墜落した場合、その衝撃 が直接、支点にかかり危険なうえ、支点の位置によっては確保機器が上にはね上げられ、アッパーカットを受けたり、腕や手がもっていかれ骨折する可能性があります。非常に危険ですので、いますぐやめるべきです。」と書かれていました。昴メールでは資料があると書かれていましたが・・・
    フリークライミングと・アルパインクライミングの確保がゴチャゴチャになりつつあります。「人工壁」で育った人にへ曲がった今にも抜けそうなハーケンへの配慮などありようもないですから・・・・アルパインの確保は条件によって様々な確保をするべきと思います。
    ・支点がしっかりとしたビレーポイントの時は「ボディービレー」は間違っています。支点確保にするべきです。
    ・支点が不安定の場合は支点確保は自己ビレーにとどめます。ただしトップの確保のボディービレーの仕方は(と、同時にセルフビレーの仕方も)注意が必要です。私の場合は「エイト環のチョンボ掛け」と言うやり方をしています、又、最悪の支点状態の場合(この場合は自己ビレーの支点が最悪だということになりますが)は、トップの確保のボディービレーの仕方はグリップビレーという形を取ります。
    資料は2つあります。一つは以下をみてください。
    ・「ザイルの伸びを考慮した制動確保モデル式による支点確保とボディービレイの比較他について」
    http://www.geocities.co.jp/Athlete-Crete/3778/kakuho/taniseki.htm
    を参照してください。

    > アルパイン関連のある本に、支点確保ビレーは・・・支点の位置によっては確保機器が上にはね上げられ、アッパーカットを受けたり、腕や手がもっていかれ骨折する可能性があります。 非常に危険ですので、いますぐやめるべきです。」と書かれていました。
    Hさんの「アルパインクライミング」と言う本だと思いますが・・・・(もう一つ・については)・・・ボディハーネスにカラビナをつけそれにトップのロープを通す形「リターン」する事により確保方向は一定に出来き、はね上げや持って行かれることは無くなります。(自己ビレーの確保はメインザイルで取ってください。間違ってもデージーチェーンで取らないでください。)それと一番大切なことなのですが、「本ちゃんや氷の確保」は「ATC」は禁止しています。ランニングビレーが破壊されます。講習会もこの辺のことを中心にしております。

    第┃ 86┃回┃ 「山岳共済保険の更新時期」(2002/2/25) 
    ●確保器 ATC
    :現在最も使われていると思います。フリー用としては最もシンプルで使い勝手がよいのですが、ダイナミックビレーには適しません。先日色々試してみましたが、通常のセットと反対向きにセットするとダイナミックに使えました。本チャン・アイスクライミング時は「逆」セットですね。

    第┃ 96┃回┃無雪期前期登山「教室」今月で終わり(2002/5/5)
    ●確保理論について 
    ボディビレイの有用さの大きなポイントとして「制動確保(ダイナミックビレー)ができない場合でも、ほんのちょっと体が浮けば、人体の緩衝効果で中間支点の衝撃が緩和される」との可能性が信じられてきていますが労山のHPに 「空中墜落するトップをボディビレイで止めるさい、ビレイヤ―の人体がはねあげられることによる緩衝効果の実測」が出ています。50cmくらいはねあげられたのでは中間支点での衝撃力はほとんど緩衝されず、80cmとか90cmとかはねあげられないといけないというデータです。この結果はこれまで「制動確保ができない場合でも、ほんのちょっと浮くだけで、人体の緩衝効果で中間支点の衝撃が大幅に緩和されるはず」と教えてきたことが誤りであることを示すものですので是非お読み下さい。
    http://www.geocities.co.jp/Athlete-Athene/6102/jwaf-7.html

    ●ペッツルの確保器「ルベルソ(REVERSO)」
    ペッツルが「技術的な更新」というタイトルで自動ロックモード時のダブルザイル使用方法に警告を発しています。
    8.5mm未満の濡れたロープを使用してトップが二人のビレイをする際、オートストッパーが機能しないというものです。
    カラビナを横にした状態で使用すると、場合によってはリテイナー(丸いガイド部分)にカラビナが引っかかり、オートロックが機能しないことがあります。カラビナは必ず縦にして、常に確認しながらご使用ください。
    また、大きい穴に使用する環付きビナは「「HMS」(ハンマスト用)を使用するように。
    D型カラビナを使用すると、2人のビレイを同時におこなった時に1人テンションが入った場合、もう片方のロープのオートロックが機能しない。または2人とも落ちた時、先にテンションの掛かっていたロープのオートロックが解除される場合があるそうです。
    http://www.petzl.com/petzl/popup/reverso-en.htm
    http://www.alteria.co.jp/reve01.htm

    第┃ 106┃回┃モントケン2(2002/8/13)                
    文登研での北村氏の内容を纏めてみました

    ●「確保理論入門」  北村憲彦
    サブタイトル「ロープを用いた確保技術を高めるために」(一部新保の方で手を入れています)
    1.墜落による衝撃力の発生と緩和

    1-1,墜落の高さと落下速度
    高さが2mからの墜落なら問題にならないかも?しかし高さが10mからだと時速50kmの落下速度が発生する・・・・ランニングビレー支点は墜落高を減らす役割。

    1-2,弾性確保理論(バネのようなロープの性質、落下率)
    登山用のロープは、引張力に対して伸びる性質・・・バネのように
    ローブの長さ(クッションの厚み)に対する墜落距離(高低差)という比率が大切になってくる、これを落下率という。
    落下率=見かけの墜落距離÷張力がかかる直前の繰り出されたロープの長さ
    落下率が小さいほど衝撃力は小さい。当然、落下距離が小さい方が落下率は小さいから衝撃率も小さくなる、又、同じ落下距離の場合なら繰り出されたロープの長さが大きいほど落下率を小さくできるので衝撃力も小さくなる。

    1-3,落下率からみた危険な瞬間
    ランニングビレーを一つも取らずに登ることは墜落距離も大きく明らかに危険である、ところが登りはじめの数mの場合はどうだろう、たとえば地面に叩きつけられることのないルートの途中ならば問題ないように見えるが、その時の落下率は「2」になり、衝撃力は大きい。
    落下率で考えれば1m登り始めてランニングビレーを取らずに墜落して2m落ちる時の衝撃力と10m登ってランニングビレーを取らずに20m落ちるときの時衝撃力は同じと言える(注:これは最大の張力と言うことであって、落ちるスピードは2mでは時速23kmなのに20m墜落すれば時速70kmを越えてしまう、この速度は墜落しきった時のロープのスピードでもあるから、摩擦熱も無視できない。ロープが全部の墜落エネルギーを吸収するまでまでの時間も長くなる、一瞬なら堪えられても数秒の間、はたして持ちこたえられるのだろうか?)
    必要だと思うところでは決して手抜きせずにランニングビレーを取る事が、落下高さと落下計数を減らす事になる。リードする人が自らのためにリスクを減らすのが第1の基本である。

    2.摩擦による衝撃力の減衰
    2-1,巻き付けることの効果
    ザイルがランニングビレーのカラビナに巻き付くことでロープの張力は減衰して確保者へ伝わる。巻き付けの摩擦抵抗によって張力を減少させることは、ランニングビレーのカラビナだけでなく確保器具(ATC)への巻き付けについても同じ原理である。(この式をオイラーの式という)(巻き付く面は足し算で理解してもいい)

    2-2,制動確保
    墜落の衝撃力のエネルギーは、ロープとの間で摩擦熱として失われる、ロープの流れ出す量は少なくとも緩衝作用を発揮する、従って厚手の革手袋(綿手袋)で摩擦発熱に耐えられるように備える。また、態勢を大きく崩さないように常に力のかかる方向を気にして構える。たとえ、体勢が崩れてもロープを離してはならない。落下係数が小さければ、少しだけしかロープが流れなくてもかなりの緩和効果がある。ただし、実際には(ロックしてはいけないという事は当然だが)無理にロープを流すものではない。

    3.強固な確保支点の設置
    ハーケンやボルト、カム・ナット・立木、ピナクルなどあらゆるもの、パーティーの命を繋ぎ止める錨(アンカー)を下さねばならない。アンカーの構築には確実性の高く、強度のある支点を複数設置する事。残置支点が不十分ならば、自分で打て!!
    さらに、それらを連結する。連結する角度はできるだけ小さい方が良い。そうすればスリングと各支点にかかる荷重の分担をできるだけ軽減する事ができる。基本はできるだけ均等な荷重かかかるようにスリングで支点を均等流動分散方式で連結する。

    ●菊地敏之著「最新クライミング技術 }( 2002年5月発行)について
    P41からの「ビレー」(ザブタイトル「New Standad Climbing Technics」)については明らかに間違っています。スポーツクライミングの発想からアルパインの確保を考えるという・・・短い墜落のフリーとアルパインでの墜落とを同じレベルでとらえるという様なもので・・・しかも意図的にかランニングポイントにかかる負荷については無視をしています・・・人工壁の支点が本チャンにあるわけはないのに・・・

    支点ビレーかボディービレーかは長い歴史の中で意見が分かれるところですが、ボディービレーが良いという例にスポーツジムで支点ビレーをしているところはない等と言うにはびっくりです。アルパインで、フリー感覚で支点を確認するという作業をする人が少なくなったという事、補強したりするということをできる人が少なくなったという事があるのは事実ですが・・・・(そもそもハンマー等を持参しない等論外)アルパインの場合は支点を構築する事から全てが始まります。そうことを学ぶ場所が無くなったという事だと思いますが・・・

    制動確保(ダイナミックビレー)を否定しスタティックビレー(静的確保)を正当付けるのは驚きで・・・(「新しいセオリーとなっている」との記述)。車の急ブレーキの危険性は理解できると思います。
    山岳会等が「確保の練習」等しないと言う事実に乗っかっての発想です。ブレーキ操作は「教習所」で訓練がいるように確保もそうだと言う事は理解できると思います。
    文登研の確保訓練所は誰でも申し込みさえすれば使用ができます。落下係数・支点にかかる衝撃なども測れます。もっと利用するべきだと思います。




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